夢はエネルギーをつくりもするし奪いもする
世界一周の旅が終わり、
僕はバックパック1つで世界中
どこでも生きていけるという自信を手に入れた。
だけど一方で、
世界一周したら何か次の新しい夢や目標が
見つかると思ったけどそれは見つからなかった。
大きな夢は叶えたが、
また夢がなくなり僕は向かう方向がわからなくなっていってしまった。
自分の今のために過去を使わない選択
帰国後、実はまた2カ月ほど引きこもりに。。
そして気が付くと僕は、リ●ルートやイン●リジェンスという
転職派遣のエージェントと出逢いこんな会話をしてた。
「あなたの経歴なら今までの給料の倍近くの
こんな会社に挑戦してみてはいかがですか?」
「システムエンジニアは転職してなんぼですから、
選び放題ですよ。」
「選ぶなら給料と有給数と福利厚生ですよね。」
そんなことを僕はボ~と聞いていた。
そして何人かめのエージェントさんの
この言葉に僕は意識を取り戻すことになる。
「草刈さん悩んでますね?悩みませんか?」
今までもらったことないその言葉にハッとして
その人の顔を見ると、胸に名札が。
「斎藤美和子」
なんと小学校の時の恩師とまったく同姓同名だった。
そして彼女はこう続けた。
「草刈さんはまだ若いし、急いで決めないで派遣という形で
色々経験しながら今後を考えるという道もあるのでは?」
またしても僕は『自分の無限の可能性』を
応援してくれる人に人生を変えられたのだ。
今までシステムエンジニアだったから
次の職もシステムエンジニアであるべき。
これは過去に捕らわれた思考で、
自分の過去を今の自分の味方にできてない考え方になる。
でも過去の自分の流れを変えるのは
とても怖いこと。
僕は派遣で1年間システムエンジニアをやったのち、
勇気を持って飲食業という業界に飛び込んだ。
これはシステムエンジニア時代の過去を
捨てたからじゃなくて、
システムエンジニア時代の過去を信じたから。
パソコンの技術やスキルを活かして
仕事をしようというじゃなくて、
あの時の、そしてこれまでの人生経験を
この仕事に活かそうという発想。
技術やスキルの過去を信じると
人はどうしても狭い範囲で捕らわれてしまう。
だけど、人生経験という過去を信じると
どんな過去も味方にでき、広い範囲で考えることができる。
自分の今のために過去を使う選択
でもそんな自分も、
どうしても乗り越えられない壁があった。
出逢った人に
「なんで会社やめたの?」と言われ、
「パニック症になったから。」という事実を言えなかった。
それを言うと、
「あっ…そうだったんだ。。」って
人がひいていくのを何度も経験し、
あれは人生においての失敗で、消し去りたいこと。
そう自分の中に感じていた。
でもその消し去りたい過去は
今ではネタとして自分にも人の役にもたっている。
あの時偶然出会った人が自分を変えてくれた。
その日は友達と会う約束してたんだけど、
その友達が急に
「僕の友達も一緒にいいかな?」と言ってきた。
なんの迷いもなく了解すると、
そこで人生を変える転機が起きた。
その日は暑い日だった、
だけど一緒に来たその友達の女の子は
ニットの帽子を深くかぶって現れた。
「はじめまして。」
そうやって話をし始めてすぐに、
僕は何かの衝動にかられた。
「この人に自分のこと話さなきゃ。」
そう心が動いてきた。
そして、世界一周の旅から封印していた
過去の自分の封印を解き話した。
「実は僕、世界一周の旅に行く前にパニック症だったんだ。」
なんか自分も辛くなく、
「何かを伝えなきゃ」という心の声で
自分の話をさせてもらった。
僕の話が終わると、
彼女はそっと帽子を取った。
そしてその姿をみて僕も友達も絶句した。
「実は私白血病なんです。」
「でも今まで誰にも言えなかった。」
「でも草刈さんのおかげでなんか今日言おうと思えました。」
僕より驚いていたのは横にいた友達。
友達も知らなかったのです。
彼女は笑顔で僕たちに言いました。
「ありがとう。私は絶対に負けません。」
涙をしながらのビックスマイルだった。
自分が消し去りたい過去。
それはきっと誰にでもあるかもしれない。
でも実は、
その過去の経験は、
誰かに希望や勇気を与えるために
あなたが授かった役目なのかもしれない。
その経験を
自分への悲観の意識で持っておくのではなく、
ネタにして、人への提供の意識で持っておく。
そうすることで、
あなたが経験してきたすべての過去は
誰かを応援するためにあった経験になる。
今の自分があるのは
すべての過去があるから。
過去のひとかけらでも欠けていたら
今の自分はない。
そして、自分の過去のひとかけらでも
自分の中から消し去ろうとしていたら、
今の自分は不完全になる。
全ての過去は今の自分の味方になる
すべての過去をネタにして
自分ではなく人へ意識を向けて使っていく。
そうしたらどんな過去もすべて
今の自分の味方になって力を貸してくれる。
そして僕はすべての過去を味方にして
次のステージに挑むことになった。